「獄中」日記 米英東亜侵略史の底流 大川周明 著

◇第2章の「米英東亜侵略史」を読むために図書館で借りてきた。「日米開戦の真実」という書名で小学館が佐藤優氏の解説を加えて出版しているのだが、なぜ書名と著者名を変える必要があったのだろう。やはりA級戦犯というイメージが売り上げに響くからだろうか。あるいは、より多くの読者に訴えるためには、大川周明を前面に出さない方がよいと判断したのかもしれない。

◇いずれにせよ、米英への開戦後わずか1週間という時期に放送されたラジオの講義録とは思えない程冷静で論理的な口調(筆の運び)は、戦後教育で勝手に作り上げた戦前戦中のイメージの修正を迫られるほどである。

◇考えてみれば、開戦の年から私の生年まではわずか20数年。その後に生きた年数よりもはるかに短い。その割には、戦前や戦中のことを知らなすぎる。大川周明の著書を頼りに大東亜戦争の意味をもっと考えないと、現代を読み解くことなどできないと痛感。