◇とあるインターナショナルスクールに通っている生徒が、ぜひ読んでみたいと選んできました。いわずと知れたフィッツジェラルドの名作です。私自身もはるか昔、大学生時代に授業で読んだことがあります。今は村上春樹さんの翻訳版が出ていて、これがまた非常に読み易い。
◇村上春樹さんと言えば、「風の歌を聴け」とか「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」などの著作が、印象深くて当時からフィッツジェラルドっぽくて素敵だと思っていましたが、みるみるメジャーな存在になっていくことで逆に自分は遠ざかってしまったのかもしれません(へそ曲がりな奴ですね)。
◇今回生徒と授業を進めていく中で、ギャッツビーの人生がどのように描かれているかに注目しました。視点人物でナレーターであるニックから見えているギャッツビー、そしてミス・ベイカーの話から明らかになる過去のギャッツビー、さらに最後に登場するギャッツビーの父が思い出として語る、少年時代のギャッツビー。キャラクターの役割を分析することで、作品が立体的に見えてきます。面白い気づきを得ることができました。教えているようで同時に学んでいるのですね。生徒に感謝!
◇大恐慌前の、華やかなアメリカの雰囲気を冷ややかに眺めるフィッツジェラルドのまなざしは、不況にあえぐ今の時代にこそ味わい深く迫ってくるように感じます。